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治療品質を問わない保険制度

      国民健康保険制度について、皆様はどの程度までご存知ですか?

     欧米諸国と違い、日本、台湾、韓国は国民皆保険の恩恵で誰でもが気軽に医療サービスが受けられるようになっていますが、実は、この保険制度こそ過剰治療が一般化している主な原因の一つと言えます。

     保険診療というものは、ある一定の診療を行なった時の医師への報酬額が国によって決められておりますので、どこの歯科医院に行っても「同じ金額で同じ診療項目」が受けられます。この保険制度のおかげで低負担で医療を受けられるという安心感もありますが、一方で「国の基準をクリアした一定の技術を持った歯科医が、皆同じように医療人としての崇高な志を持って真面目に医療に当たっているため、どの歯科医院でどの医師に治療してもらっても同じ治療品質」という妄信、盲点があるのも事実です。

     保険制度では、治療の数量のみをカウントし、国への治療費請求時の経済評価としています。医師が患者さんに施した治療品質は全く評価されていません。

     丁寧で時間を掛けた上手な治療も、下手な治療も、短時間で仕上げた手抜き治療も、実際にやっていない治療(不正架空請求)も、必要性もない歯の治療も全て同じ支給額ですし、患者さん側の部分負担も全て同じです。形ばかりの手抜き治療で短時間中に治療数量を多く稼ぐ方が得で、時間を掛けて治療している真面目な正直者が損をするというシステムがここにあります。品質に対する評価、査定がなければ品質をキープする原理は機能しません。

     保険制度の欠陥を乗り越えて、患者さんの利益に徹した医療を熱心に実践し、提供なさっている先生もいますが、ほんの一握りの少数派ですし、患者さんがそれを見極めて探し当てることはなかなか容易な事ではありません。日本国内ですらこういった問題があるため、歯科医院選びが容易ではないというのに、海外では言葉や文化の違いで医院・医師選びの選択がより限られてしまうという事から、日本国内よりも一層の慎重さが必要になってきます。

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